11. DNA損傷に伴ってcaspase-2を活性化するタンパク質複合体PIDDosome
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大木理恵子, 田矢洋一
キーワード
p53, caspase-2, PIDD
caspase-2はカスパーゼファミリーの中でも、特に広い生物種の間で高度に保存されている分子
しかしながら、アポトーシスにおける役割はまだ不明な点も多い
これまでにcaspase-2はミトコンドリアの上流で働くこと、Bidを切断すること、Baxのミトコンドリアへの局在とシトクロムcの放出を引き起こすことが報告されている
caspase-2は、caspase-recruit domain(CARD)を介して、アダプタータンパク質であるRAIDDと結合することが知られている
RIADDはCARDに加えてですドメインももっているkとが知られる
caspase-2、RAIDDを含む複合体の構成要素を見つけることを目的として、RAIDDのデスドメインに結合するパートナーを同定した
デスドメイン同士は相互作用することが知られているため、複数のデスドメインをもつタンパク質との結合を調べたところ、唯一PIDD(p53-induced protein with a death domain)が、RAIDDのデスドメインと結合することが示された
PIDD遺伝子はp53の標的遺伝子であり、全長で90 kDaのタンパク質をコードしているが、細胞内では、ほぼ中央で切断を受けて、48と51 kDaの2つのタンパク質として検出される
このPIDD, RAIDD, caspase-2から成るタンパク質複合体はPIDDosomeと名付けられ、Apaf-1-caspase-9のアポトソームとは異なった働きをもつ複合体であることが示された
アポトソームは、下流のcaspase-3, caspase-6, caspase-7を活性化するが、PIDDosomeはcaspase-2の活性化を引き起こす
PIDDの高発現により、caspase-2は活性化され、DNA損傷によって誘導されるアポトーシスも増強する
一方、PIDDの発現を抑えると、p53依存性のアポトーシスが抑制されることも報告されている
以上のことにより、新規に発見されたタンパク質複合体PIDDosomeはDNA損傷に伴ったアポトーシスの制御において重要な働きを担っていると考えられた